2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

長編推理小説「タリア」第7章その1

作品解説:この長編小説は第24回江戸川乱歩賞最終候補作となりました推理小説「タリア」を選評(「一番面白く読んだのはこの作品だ。惜しい、まったく惜しい」「文章を修正すれば名作になったかもしれない」にもとづいて加筆訂正しております。物語は日本人…

長編推理小説「タリア」第6章その4

(第6章その4) タリアがどこかへ出かけていたその目的が、彼女がアムステルダムで殺された事件につながりがあるのではないだろうか。 彼女をアムステルダムへ呼び出した人物は、いったい、どのようにして彼女をそこへ行かせたのか。彼女がどこかへ行っていた…

長編推理小説「タリア」第6章その3

長編推理小説「タリア」第6章その3 初めてデ−トしたシベリウス公園からの帰り道、タリアはレコード店の前で立ち止まり、神谷に一番好きな曲は何かと尋ねた。 神谷はアル・クーパーの曲を言った。 すると、彼女は店に入り、一枚のレコードを買った。 それが、…

長編推理小説「タリア」第6章その2

第6章その2) タリアとずっと一緒にいたメイユなら、タリアのアムステルダム行きの謎を知っているかも知れない。そう思ったからだった。 「タリアがオランダへ行ったのは旅行だったんでしょう?」 期待はいとも簡単に裏切られ、神谷は失望した。 「君もタリ…

長編推理小説「タリア」第6章その1

作品解説:この長編小説は第24回江戸川乱歩賞最終候補作となりました推理小説「タリア」を選評(「一番面白く読んだのはこの作品だ。惜しい、まったく惜しい」「文章を修正すれば名作になったかもしれない」にもとづいて加筆訂正しております。物語は日本人…

長編推理小説「タリア」第5章その3

(第5章その3) 誰かがタリアをアムステルダムへ行かせた。 その人物がタリアとどういった関係にあったのか、なぜ彼女をアムステルダムへ行かせたのか、その疑問を解くために俺はアムステルダムへ来た。 彼女をアムステルダムへ行かせた人物と彼女を殺した犯人…

長編小説(推理小説)「タリア」第5章その2

(第5章その2) 「アテンション・プリーズ。機はまもなくスキポール空港に到着致します…」 機内放送が神谷をここちよい眠りから現実へと引き戻した。 神谷は小窓をのぞいてみた。 レンガ色をした町並みが驚くほどはっきりと目に飛びこんできた。 アムステルダ…

長編推理小説「タリア」第5章その1

作品解説:この長編小説は第24回江戸川乱歩賞最終候補作となりました推理小説「タリア」を選評(「一番面白く読んだのはこの作品だ。惜しい、まったく惜しい」「文章を修正すれば名作になったかもしれない」にもとづいて加筆訂正しております。物語は日本人…

長編推理小説「タリア」第4章その2

長編推理小説「タリア」第4章その2 タリアの死を知らされてからの数日間、神谷は気の抜けたような毎日を送った。 何もする気にはなれなかった。 心の中にぽっかりと穴があき、魂がどこかへ飛んで行ってしまったような感じだった。だが、悲しみの涙が出つくす…

長編推理小説[タリア」第4章その1

作品解説:この長編小説は第24回江戸川乱歩賞最終候補作となりました推理小説「タリア」を選評(「一番面白く読んだのはこの作品だ。惜しい、まったく惜しい」「文章を修正すれば名作になったかもしれない」にもとづいて加筆訂正しております。物語は日本人…

長編小説(推理小説)「タリア」第3章その2

長編小説(推理小説)「タリア」第3章その2 神谷は氷水を口にふくみ、関口の目を真正面から見つめた。 関口は神谷を励ますかのように力強く顎を引いた。 いつの間にか、ギルバート・オサリヴァン、『アローン・アゲイン』が流れていた。やるせないほどの哀愁と…

長編小説(推理小説)「タリア」第3章その1

作品解説:この長編小説は第24回江戸川乱歩賞最終候補作となりました推理小説「タリア」を選評(「一番面白く読んだのはこの作品だ。惜しい、まったく惜しい」「文章を修正すれば名作になったかもしれない」にもとづいて加筆訂正しております。物語は日本人…

長編小説(推理小説)「タリア」第2章その4

長編小説(推理小説)「タリア」第2章その4 犯人を探すに必要な手がかりは、乏しかった。 市販の赤い蝶の模様がプリントされた紫色のネクタイが一本、そして、どの家庭にも見うけられる果物ナイフ。 この二つが、事件を追う側の持ち駒であった。 婦女暴行致死…

長編小説(推理小説)「タリア」第2章その3

長編小説(推理小説)「タリア」第2章その3 バンヘルデン警部らがアムステルダム警察本部に着くと、連続殺人特別捜査班の全員が顔をそろえていた。 連続殺人特別捜査班。耳慣れぬ言葉だが、四月中旬に三人目の犠牲者が出るにおよび、急遽、特別に設置されたの…

長編小説(推理小説)「タリア」第2章その2

長編小説(推理小説)「タリア」第2章その2 警部の名はガストン・バンヘルデン。 アムステルダム警察本部殺人課警部である。 家庭には七歳年下の妻と六歳になる娘がいて、彼自身この七月で四十三歳を迎える。 現場では鑑識の面々が死体を前にそれぞれの任務を…

長編小説(推理小説)「タリア」第2章その1

作品解説:この長編小説は第24回江戸川乱歩賞最終候補作となりました推理小説「タリア」を選評(「一番面白く読んだのはこの作品だ。惜しい、まったく惜しい」「文章を修正すれば名作になったかもしれない」にもとづいて加筆訂正しております。物語は日本人…

長編小説(推理小説)「タリア」第1章その3&その4

ブログランキングに参加しています。是非クリックしてください! 長編小説(推理小説)「タリア」第1章その3 車は速度を落とし、女に近寄った。 「失礼ですが」 男の声に、女は車窓へ顔を向けた。 「カールトン・ホテルへはどう行けばいいのでしょうか」 落ち…

長編小説(推理小説)「タリア」第1章その1&その2

ブログランキングに参加しています。是非クリックしてください! 作品解説:この長編小説は第24回江戸川乱歩賞最終候補作となりました推理小説「タリア」を選評(「一番面白く読んだのはこの作品だ。惜しい、まったく惜しい」「文章を修正すれば名作になった…